こんにちは!
BeNTOプロジェクト運営事務局の加藤です。
今回の農家研修も前回に引き続きピースファームの星野さんのもとで行いました。
星野さんの紹介は前回のページからご確認ください。
URL: http://tosi-nougyo.jp/report/tokai_training_03
【都市型農業の経営のメリットデメリットとは】
まず、都市農業とはどのようなメリットデメリットがあるのか簡単に記載したいと思います。
「都市農業のメリット」とは、“消費者数は圧倒的に多い”・“消費者との距離が近いため直販しやすい”・“市場動向が掴みやすい”という点が挙げられます。
=農業者が一番苦労するといわれている売り先が確保されやすいという点。
反対に「都市型農業のデメリット」は
“土地が限られているため、生産量が少ない” ・ “住宅地が近い場合、農薬や肥料が使いにくい” ・ “雑草や虫など周辺住民の理解を得る必要がある”
という点があります。
この点を踏まえて今回の研修を見ていきたいと思います。
今回の研修は下記のようなスケジュールで行われました。
〇●スケジュール〇●
・畑ツアー
・サツマイモ堀り&農具の使い方レクチャー
・豆の脱穀
・星野さんの話&質疑応答
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【畑ツアー】
星野さんの畑の規模は約1反で大きさにすると(10m×100m)です。農家としての規模では小さく、どちらかというと家庭菜園に近い規模です。この規模で星野さんはどう生業としているのでしょうか。
上の写真は、種をばらまいて発芽し始め水菜などの葉物野菜です。
基本的に星野さんは自然栽培といって、ほとんど人の手を加えない形で野菜などの農作物を栽培しています。
*こうして種をまいて放っておくことができるという点で、作業が減り時間を別のことに使えます。
例えば普段であれば、
- 種まきをして
- 間引きをしてまたはポットに何度も植え替えて
- 追肥をして
- 収穫して
- パッキングして
- 出荷をして
という仕事を星野さんの農法では①の工程だけで終えることができます。
星野さんはこの時間を活用し、YouTube撮影や編集を行います。
*デメリットとしては生産量が安定しないので、安定供給が求められる出荷には不向きとのこと。
また、下の写真は夏野菜のピーマンです。
ピーマンは苦いというイメージがありますが、
なんと星野さんの畑で採れたものは苦みが少なく甘いのです。
今回の参加屋の方も実際に味わって驚かれていました。
これは、品種もありますが、星野さんのYouTubeなどの動画に挙げられているような自然栽培を通し試行錯誤の中から土づくりを行ってきた中にあるとのことです。
【農業実習】
<農具の使い方・サツマイモ堀り>
毎度おなじみになってきた、農エクササイズこと農具の使い方レクチャーの時間。しっかりと腰を下ろし、背筋を伸ばし、大きな筋肉を動かすことで、体に負担のかかりにくい姿勢で作業できるだけでなく、同時に普段動かさない筋肉を利用することで、トレーニングにもつながります。
星野さん曰く、武道を行う基本姿勢と似ていて、本来の人間が力を出しやすいのではとのこと。
普段の作業をこのように角度を変えてみると遊び心を持って楽しく効果的にでき、モチベーションも上がりますね!
何より、昔の人との体力の格差を痛感しました。
<大豆の脱穀>
大豆の脱穀を唐箕を利用して行いました。
これは博物館に飾られているレベルのもので、現在はほとんど利用されていません。しかし、現在でもこの技法はトラクターの中で取り入れられています。
普段は生活している中で目に見えない作業を、理屈を知り、身をもって行うことで、農の大変さ、食の大切さを実感します。
星野さんは、最近の便利な世の中に、このように忘れ去られて行ってしまう感覚・知識・経験を届けたいという思いからも活動されています。
【今回の農業研修で】
都市型農業と名前を聞くと、狭い区画で大量生産の見込める、ICTを駆使した植物工場や、水耕栽培などの機械化された農業を想像する人も多いかと思います。
それも一つの形ですが、今回訪れたピースファームでは、
狭い土地で、初期投資ほぼゼロ円から始めることができ、昔に戻ったような農業のやり方で、自分の好きな時間を好きなように利用して、自然の中でのびのびと触れ合うこと、探究し続けることを大事としていました。
そして、“自分だからできること”、“知っていること”、“経験してきたこと”を失敗含め、価値にするというやり方は、多様性を受け入れることができ、
とても居心地の良い空間に感じました。
忙しなく動く都市の中で、ピースファームのようなゆっくりと時間の過ぎる農業オアシスみたいな空間が広がれば、
昔ながらの農的暮らしから、農・食の大切さも同時に広がっていくのではないかと感じた研修でした。
今回も星野さんの人柄を感じる温かい研修となりました。ありがとうございました。